全日本学生馬術大会2021を終えて

 

今年度の全日本学生馬術大会2021を終えて早や1カ月以上が経ちました。遅くなりました

が、改めて皆様に大会のご報告いたします。今年度の開催は三木HLPでしたが、緊急事態宣言の影響で急きょ山梨に変更されました。大会期間は昨年度の短縮開催から、通常通りの日程に戻りました。

 2021年の全日本学生での目標は下記の3点であり、①はすでに達成したので残り2点を目指し臨みました。

① 障害・馬場・総合馬術全てで団体戦(3頭以上)出場。

② 馬場馬術競技の団体優勝。

③ 3種目総合の団体上位入賞。

 結果は障害馬術競技で創部初の団体準優勝、馬場馬術競技・団体準優勝、初の団体戦であった総合馬術競技は団体第6位入賞の成績を残すことができました。また、3種目総合の団体でも昨年に続き準優勝の成績をおさめることができました。

 

種目別に成績を見ると、

【障害馬術】

龍冥(りゅうめい)&森本修平(4回生)、龍晨(りゅうしん)&坂中蓮実(1回生)、新馬の龍駕Ⅱ(りゅうがセカンド)&吉川郁人(3回生)の3頭がエントリー。今年度は通常通り、2回走行を2日間で実施しました。(昨年度は1日で午前・午後の2回走行)

結果、龍冥・龍晨の2頭が2走行とも減点0。龍駕Ⅱは第1走行減点5(1落下減点4・タイム減点1)、第2走行減点4(1落下)となり、チーム減点合計は9点でフィニッシュしました。

昨年度も第1走行は減点5で団体第2位につけましたが、2走行目で崩れて減点を大幅に増やしてしまいました。今回は森本・吉川両選手は昨年の教訓を活かし、坂中選手は1回生ながらジュニアでの競技経験と実力を遺憾なく発揮して、第2走行を龍駕Ⅱの減点4(1落下)にとどめました。第3位の関大が減点10だったので、結果的にタイム減点の1点が勝負を分けました。

障害競技に力を入れる大学が多く、出場枠いっぱいの5頭をエントリーしている中、3頭のみで準優勝を獲得できたことに人馬の成長を実感しました。次年度の向けては人馬が入れ替わっても安定的な成績が残せるように、さらに厚みのある成長を目指したいと思います。

 

【馬場馬術】

昨年度入賞したR.イレニオが昨冬に亡くなったので、今年度に1頭(龍統)馬場馬を補充しました。同馬は昨年度の個人戦・第2位のR.ファインタイム、同3位の龍景と同等レベルの戦力になることを期待して入厩させました。実際、龍統は関西予選会を1回生の田原まや選手が騎乗して優勝を飾りました。

昨年度団体戦0.153ポイント差の敗因は、団体3頭目の得点率の差でした。今年度は齋藤のぞみ選手(3回生)&R.ファインタイム、大井千帆選手(3回生)&龍景、龍統&田原まや選手の3頭全ての得点率を同レベル(65%以上)にして、そこにR.エーデルシュタイン&加月拓弥選手を加えた4頭で逆転を狙いました。

 

団体戦(規定課目)での上位3頭の結果は、

(立命館)  田原まや選手 &龍統        65.577%

大井千帆選手 &龍景        64.000%

齋藤のぞみ選手&R.ファインタイム 62.692%   合計得点率 192.269%

(日大)   66.615% 66.115% 62.538% 合計得点率 195.268%

その差は2.999%でした。

 

R.ファインタイムはその実績から66%以上を計算していましたが、競技中に物見をして3回ほど暴れて減点となったことが誤算でした。これまで篠宮コーチが現地にて最終調整を行ったうえで、齋藤選手が乗って出場してきました。しかし今回は同コーチが現地入り初日に落馬・入院となってしまい、馬場はコーチの現地指導なしでの調整となりました。特にR.ファインタイムは会場において興奮気味で、本来の力が発揮出来ませんでした。ただ、齋藤選手も興奮する同馬を精一杯コントロールして演技してくれました。大井選手&龍景は春からずっと安定した演技を見せ、決勝のキュア(自由演技)では規定よりさらに順位を上げる演技を見せてくれました。団体戦で3番目の出場となった田原選手&龍統はプレッシャーが掛かる中、素晴らしい演技でした。1回生ではありますが、さすが昨年度の全日本ジュニア馬場チャンピオンの実力を発揮してくれました。加月選手騎乗のR.エーデルシュタインは実家の乗馬クラブより春先に入厩し、その後調教を重ねて来ました。相当改善されたのですが、残念ながら決勝に残るまでには至りませんでした。

龍統・龍景・R.ファインタイムの3頭がベスト10に入り、翌日の個人決勝に進みました。結果は規定よりも得点率・順位とも日大との差が出ました。次年度に向けては先ずは現状分析をしっかりと行って、学生だけでも騎乗調整できるだけの全体レベルの底上げと、キュア(自由演技)のさらなるレベルアップを課題として必死に取り組みたいと思います。

 

 

【総合馬術】

これまで1頭もしくは2頭で個人戦のみの参加でしたが、今年度初めて4頭で団体を組むことが出来ました。ただ、現地で1頭が取り消し(WD)となったので、競技には龍蘭(りゅうらん)・龍瓔(りゅうえい)・龍弾(りゅうひ)の3頭がエントリーしました。

全日学総合の初出場馬は龍蘭と龍弾、初出場選手は坂中・吉川選手、人馬ともに初出場は吉川選手&龍蘭のコンビです。ただし、龍蘭は国内外での総合経験馬、坂中選手は昨年度の全日本ジュニア総合準優勝者。龍弾だけが新馬で初出場で、馴致訓練も当初開催予定地の三木でした。これらの不安要素は4回生で経験豊富な森本修平選手のカバーに期待しました。 

結果は心配したクロスカントリーは龍弾が1反抗、龍瓔がタイム減点のみ、龍蘭は減点0でゴール。団体成績は第6位入賞でした。クロスカントリーには篠宮コーチの負傷を受けて、急きょ宇賀神コーチが臨場してコースの下見等現地指導に当たってくれ大いに助かりました。

出場した3人馬はさらに上位に入るポテンシャルがあります。特に昨年度まで障害馬術専門だった龍蘭は、2年超かけて後肢球節にあった大きなイボ治療を行い今年から総合に転向させました。同馬はクロスカントリー・障害馬術ともに減点0で第8位入賞しましたが、優勝争いが出来る馬だと思います。次年度に向けては龍弾・龍蘭ともに目途が立ったので、さらに各馬の調教と選手層の拡大・技量アップを進め、総合馬術団体でも表彰台に登壇したいと思います。

 

 

【3種目総合】

3種目総合は団体戦ポイントに、個人戦ポイント全てをカウントした合計。各種目の最大出場頭数は、障害馬術5頭・馬場馬術4頭・総合馬術5頭となり、参加馬には成績によってポイントが付与されます。

3種目総合のポイントは

(立命館大)    2020年度  514点 ⇒ 今年度  673点   +159点

(日 大)      2020年度 1270点 ⇒ 今年度 1229点    −41点

立命館大は馬場のみ4頭出場、障害と総合馬術は団体戦の最少頭数の3頭のみで出場。

日大は3種目でフル出場。全馬の成績も安定し高ポイントを獲得。

 

団体戦だけのポイントは、

(立命館大)

2020年度  障害:第5位、馬場:第2位、 総合:個人戦のみ        合計96点

今年度    障害:第2位、 馬場:第2位、 総合:第6位で         合計150点

(日 大)

2年連続で3種目とも団体優勝    2020年度・2021年度とも      合計210点

 

結果、3種目のポイントは昨年度より大幅に上乗せし、少頭数で効率よく優良な成績を残しました。昨年度も同じ準優勝でしたが内容はアップしています。3種目総合のポイントで日大との差を詰めるには全種目最大出場頭数をエントリーし、さらに全馬が好成績を残すことが必要です。しかし、現実的には頭数・選手をすぐに確保することは困難です。先ずは現頭数・選手数で各馬の順位をさらに上位に持っていくことでその差を詰めたいと思います。

個々のレベルアップが団体優勝にも繋がるので、一層の技術アップと勝利への意識向上を図ります。エントリー数についても人馬のやり繰りで何とか増やしていきたいと思います。一方、現状の3種目総合のルールについては、今後、連盟で検討が進めれれるものと思います。

【総括】

今年度は馬場馬術での団体優勝を明確に狙いましたが、アクシデント等もあり準優勝に甘んじました。しかしながら、障害馬術の団体で準優勝、総合馬術の団体で第6位、3種目総合準優勝と良好な成績を残し、確実に実力が付いてきていることが証明できました。次年度はさらに確固たる地力を付けて、3種目総合11連覇を果たした日大に堂々と挑んでいきたいと思います。

最後になりましたが、観戦いただいた山崎部長、松岡・竹村副部長ならびに吉田教官、篠宮・宇賀神コーチ、外部指導者の方々や、平素から馬術部の運営のご支援いただいている学生部・スポーツ強化オフィス、OB・OG会、保護者の皆様ほか多くの関係者に心より感謝申し上げます。

 

 

立命館大学体育会馬術部

  監督  阿部 憲二